エンシュアリキッドにとろみをつけてもよいか?

エンシュアリキッドにとろみをつけてもよいか?

2017.06.09

<患者情報>

・患者宅訪問中の看護師より、問い合わせがあった。
「エンシュアにとろみをつけてもよいか?」

(内科)
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Rp1) トラゼンタ錠5㎎ 1錠 
    グリミクロンHA錠20㎎ 1錠 
   分1 朝食後 14日分
   嚥下困難のため粉砕

Rp2) エンシュア・リキッド250ml(バニラ)1缶 
   頓用 食事ができないとき 5回分

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<経腸栄養剤へのとろみ剤使用>

とろみ剤を添加しても、経腸栄養剤の成分に変化はなく問題はない。しかし、水と同じ量では、粘性がつかないことがあるので、注意が必要である。

とろみ調整食品を用いた経腸栄養剤の粘度について調べた文献がある。

試験に用いたのは市販のとろみ剤、グアーガムを中心とした第二世代のとろみ剤「アップエース」、キサンタンガムを用いた第三世代「トロメイクSP」「トロメリンEx」、牛乳・濃厚流動食用の「ペグメリン」「つるりんこ牛乳・流動食用」。代表定な粘性テストLine Spread Test*(LSTテスト)と、とろみの指標としての粘度mPa・sの関係を比較した。

結果は、同じLST値の場合、LST値と粘度は「アップエース」、「トロメイクSP」、「トロメリンEx」は、水と類似の関係を示したが、流動食用の「ペグメリン」「つるりんこ」は他よりも粘度が高くなった。また、ほとんどの場合、とろみをつけるための使用量は、水よりも多く必要であった。脳卒中後の嚥下障害などで基本的なとろみの粘度150~300 mPa・sにするためのとろみの使用量は、エンシュア100mlの場合下記のような結果であった。

・アップエース、トロメイクSP、トロメリンEx・・・2.5~3g

・牛乳・流動食用の「ペグメリン」・・・3g

・「つるりんこ」・・・3.5g

とろみ剤には複数の増粘多糖類が混合されている。また、栄養剤にもさまざまな成分が含まれ、それぞれが影響しあって粘性に関与するため、とろみ剤の量を一律に決定するのは難しい。

使用時のアドバイスとしては、とろみ剤の量は一律には決められないが、水に対する量よりも多めで、100mlあたり2.5g~3gが目安であること。量が少ないうちは粘性がつきにくいが、ある量を超えると、粘性が急に増加するため、一度とろみがついた後、再調節の必要があることなどがあげられる。

 

*LSTテスト:目盛のついたシートを用い、直径30mmのリングに20mlの測定したい液を入れ、リングを持ち上げ、30秒後に溶液の広がりを計測する。

 

参考文献)嚥下医学 76-87、2015 

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