透析患者にシナールが処方される理由

透析患者にシナールが処方される理由

2013.04.12

Rp 
シナール錠(200) 0.5T 1×M / 7日分

<解説>
成人の体内には4g前後の鉄があります。およそ70%がふだん働く機能鉄で、残りは肝臓などにたくわえられ、機能鉄の不足を補う貯蔵鉄です。
腎臓が悪くなると、腎臓が分泌しているエリスロポエチンというタンパク質が減少するため貧血が起こります。エリスロポエチンは、赤血球をつくる骨髄細胞(骨の中にある細胞)のエリスロポエチン受容体を刺激し、赤血球の産生を増加させます。赤血球の寿命は120日なので、長期間エリスロポエチンが分泌されないと、赤血球の産生がないので、赤血球が減少して貧血が起こります。一部の透析患者では、貯蔵鉄が十分にあるにもかかわらず鉄飽和度およびヘマトクリット値が低値(30%以下)を示す、いわゆる機能性鉄欠乏状態が存在し、エリスロポエチンに抵抗をきたすことが報告されています。一方、ビタミンCは、組織貯蔵から鉄の遊離を促進することが知られています。実際に、機能性鉄欠乏状態の患者に、100mg週3回および500mg週1回の透析後ビタミンC静注を行ったところ、貧血の改善がみられたという報告があります。これは注射の用量なので、シナール錠だと用量は100mg以下が望ましいとされています。ビタミンCの代謝物のシュウ酸が蓄積し、シュウ酸Caが組織に沈着するためです。

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