スプリセル(ダサチニブ)とH2受容体拮抗剤の相互作用

スプリセル(ダサチニブ)とH2受容体拮抗剤の相互作用

2013.04.12

循環器科-----------------------------------------------------
 バイアスピリン 1T 1×朝食後 35日分
 パリエット(10) 1T 1×朝食後 18日分(隔日服用)
血液内科-----------------------------------------------------
 スプリセル(20) 1T 1×朝食後 
 スプリセル(50) 1T 1×朝食後
 ラシックス(20) 1T 1×朝食後 14日分
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<患者背景>
グリベック服用中から循環器科の薬を服用していた。
7/7 からスプリセルへ切り替えとなり、50mgから開始。
7/21 より70mgへ増量となり継続服用中。
4週服用後の検査で非常によい結果が出ている。

<ダサチニブの胃内pHの影響を調べた海外の文献>
「ダサチニブ50mgを一日二回、12時間間隔で投与」を基準として、ABC三群に分ける。

●A群●
ダサニチブ50mg投与のみ。併用薬なし。

●B群●
1回目のダサチニブ50mg投与2時間「後」にファモチヂン40mg投与----①
(ファモチヂン投与10時間後に2回目のダサチニブ50mg投与)----②

●C群●
1回目のダサチニブ50mg投与2時間「前」に制酸剤30ml投与----③
2回目のダサチニブ50mg投与と「同時」に制酸剤30ml投与----④

※ダサチニブはスプリセルの一般名
※制酸剤は商品名マーロックスを使用。
※すべて経口投与。ダサチニブは食後投与。

(実験結果と考察)
・A群、B群①、C群③のダサチニブのAUC、Cmaxにはほとんど差が見られなかった
・B群②は、A群と比較してAUC61%減、Cmax63%減
・C群④は、A群と比較してAUC55%減、Cmax58%減

この結果から、胃内pHの上昇がダサチニブの吸収に影響を及ぼす事が示唆された。
現段階の研究において、ファモチジンとスプリセル併用における最適な治療用量は発見できなかった。
PPIのような胃酸を強力に抑える薬剤の投与は、AUC及びCmaxをさらに減少させると予想される。
スプリセルの服用2時間前に制酸剤を服用した場合、影響はほとんどないと考えることが出来る。

<まとめ>
海外の文献によると、スプリセルはH2受容体拮抗剤の併用や、制酸剤の同時服用により、吸収に影響が出ることがわかった。
しかしながら、最初に示した症例においては、パリエットを隔日服用していてもスプリセル70mgで治療効果が出ており、病状をコントロールできていた。

主治医にはPPIとの併用注意については念のため伝えている。
禁忌ではないが、スプリセルの吸収に影響があるため、H2受容体拮抗剤やPPIを服用中の方にはスプリセル初回服用時に問い合わせが必要ではないかと思われる。

<参考文献>
Phase I study of the effect of gastric acid pH modulators on the bioavailability of oral dasatinib in healthy subjects. Timothy Eley,PhD. J Clin Pharmacol 2009;49:700-709

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