更年期障害とエクオール

更年期障害とエクオール

2015.06.12

更年期障害は、その症状の程度に個人差が大きいが、症状が強い場合は、QOLが著しく低下する。

40歳代半ばから50歳代にかけての閉経前後におけるエストロゲンレベルの急激な低下が、更年期におけるさまざまな症状(月経不順、ホットフラッシュ、めまいなど)の原因になる。また、更年期以降に発症する脂質代謝異常・動脈硬化・骨粗しょう症なども、エストロゲンレベルの低下が原因の1つと考えられている。
治療の選択肢は多いが、更年期障害の中心的な症状であるホットフラッシュには、エストロゲン製剤によるホルモン補充療法(HRT)がもっとも有効と言われている。
しかし、HRTの問題点として、不正出血・静脈血栓症などの副作用があることや、乳がん、子宮体がんなどのエストロゲン依存性腫瘍のリスクが上がる可能性が示唆されている。
乳癌術後や脳血管障害、血栓症の既往などでHRTが勧められない人や、副作用によりHRTができない人などに、エクオールを代替療法として用いることが期待されている。
エクオールとは、大豆イソフラボンの1つであるダイゼインが、腸内細菌により代謝されることで産生される。
エストラジオールに類似した化学構造を持ち、エストロゲン様作用を示す。その活性は、エストロゲンの1/1000~1/100と報告されている。
エストロゲン受容体には、αとβの2種類が存在し、α受容体は主に生殖器に、β受容体は骨・前立腺・血管などに分布している。
エクオールには光学異性体(S、R体)が存在する。これまでにヒト、動物の尿や血液から検出されたエクオールはすべてS体である。
S体エクオールは、エストロゲンβ受容体への親和性が高いことが報告されている。この親和性と分布の違いから、S体エクオールは、生殖器への影響が少なく、他の組織でのエストロゲン様作用が期待されている。
エクオールは前述の通り、大豆イソフラボンから腸内細菌によって産生されるが、その産生能には個人差があり、産生できる人とできない人が存在する。日本人の50%は、体内でエクオールを産生できない。また、若年女性に限ると、20~30%の人しかエクオール産生能を持っていない。
日本人の中高年女性46人を対象に、更年期症状の程度と、大豆イソフラボン(ダイゼイン・ゲニステイン)およびエクオールの尿中排泄量の関連性を調べた結果、ダイゼインとゲニステインに関しては、更年期症状が軽い群と重い群の間に差が無かった。エクオールに関しては症状の軽い群の方が有意に尿中排泄量が多かった(P<0.05)。このことから、更年期症状の程度は、大豆イソフラボンよりもその代謝物であるエクオールと関連性があると示唆されている。

エクオールの有効性を検討するため、プラセボを対象とした介入試験がいくつか行われている。
更年期女性(エクオール非産生)において、エクオール10mg/日の摂取により、ホットフラッシュの回数減少(投与12週で有意に改善)、骨密度の低下抑制(投与12ヶ月で有意差)、HbA1cの低下(クロスオーバー試験、投与12週で有意差)、LDL-コレステロールの低下(クロスオーバー試験、投与12週で有意差)などの効果が得られている。また、目尻のシワの進行を抑制する作用(シワの面積率・シワの最大深さ 投与12週で有意差)も確認されている。
エクオール産生能のない人でも、経口的にエクオールを摂取することで、その効果を得ることができる。
エクオールのサプリメントが2014年に発売された。(商品名:エクエル 大塚製薬)
エクオールの推奨摂取量は1日10mgといわれており、大豆製品に換算すると、豆腐2/3丁、納豆1パック、豆乳200g程度になる。エクオール非産生者では、この量の大豆製品を摂取しても、エクオールは産生されないので、サプリメントでの摂取が有効と考えられる。エクオール産生者でも、毎日継続して大豆製品を摂取することが困難であるなら、サプリメントによる摂取が勧められる。
エクオールを含有するサプリメントについては,遺伝毒性・一般毒性・生殖毒性・催奇形性は認められない。血中ホルモン濃度にも影響をあたえず、正常月経の女性が服用しても、月経周期に対する影響はない。現在までに、重大な副作用は認められていない。ただし、乳がんや子宮体がんのリスク増減に関しては、作用機序的にはリスク減少が期待されるが、いまのところ結論は得られていない。
毎日の食事に加え、サプリメントで摂取するエクオール量に関して、30mg/日という目安も設定されている。大豆製品を積極的に摂取する人が、サプリメントを摂取しても、特に問題はないと考えられる。
エクエルは1Tあたり2.5mgのS-エクオールを含有しており、摂取の目安は1日4Tである。妊婦・授乳婦・小児・乳児・大豆アレルギーのある人は摂取できない。
エクオール産生能があるかどうかは、尿検査で判定できる。(商品名:ソイチェック) 税抜き3800円で市販されており、検体を郵送すると、1週間から2週間で結果が送られてくる。

 参考文献:

麻生武志、内山成人 日女性医学誌201220313-332

野崎雅裕 更年期と加齢のヘルスケア Vol12,No1、128-132;2013

 

 

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