誤嚥性肺炎における抗生剤の併用

誤嚥性肺炎における抗生剤の併用

2013.10.18

<症例>
90代女性。
肺に少し水がたまっており呼吸苦あり。誤嚥性肺炎と診断されたとのこと。
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(処方)
・ファロム錠200mg 3T
・エンテロノンR散 3g  3×毎食後 
・クラリス錠200mg 2T  2×朝夕食後  各7日分
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<文献報告>
成人市中肺炎診療ガイドラインでは、誤嚥性(大量誤嚥をのぞく)肺炎の抗菌薬療法においては嫌気性菌に有効な抗菌薬を使用するとされており、βラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系薬,クリンダマイシン,カルバペネム系抗菌薬などが推奨される。 

今回の症例ではペネム系であるファロムとマクロライド系であるクラリスが使用されていた。

・ファロペネム
誤嚥性肺炎の主要起炎菌である嫌気性菌の標準株、およびプレボテラ属、嫌気性グラム陽性球菌の臨床分離株、さらに肺炎球菌や黄色ブドウ球菌の臨床分離株に対しても、ファロムは優れた抗菌力を発揮する。

 ・クラリスロマイシン
高齢者を対象にクラリスロマイシン投与による誤嚥性肺炎への効果を12ヶ月間前向き調査方法で経過観察した研究報告がある。

 ・対象者…脳血管障害等による嚥下障害のため経口摂取不可能になり、鼻腔経管栄養による食事を開始して3ヶ月以上入院して経過した75歳以上の患者男女24人。

・方法…クラリスロマイシン200mg/日を投与群と非投与群に分けて観察。

・結果…クラリスロマイシン200mg/日投与することによって、嚥下障害があり経管栄養中の患者の誤嚥性肺炎の発症率を抑えることが認められた。また、発症しても比較的短期間に治療に成功していることも確認された。
クラリスロマイシン200mg/日投与を1年間継続した結果、腎・肝機能が低下している超高齢者においても特に副作用を認めることなく、安全性が再確認された。

 ※今回は実際にファロムとクラリスを併用したという報告は見つけられなかった。
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誤嚥性肺炎は反復して起こることが多いため、肺炎発症時の治療に加えて、飲食の意識付け,誤嚥予防の体位保持、口腔ケア、ACE阻害薬による嚥下障害の改善、胃瘻造設,気管食道離断術(適応は厳格に検討)等による予防が重要である。

 
<参考文献>
・誤嚥性肺炎におけるファロムの位置づけ   監修 渡辺彰
・クラリスロマイシン単独予防投与における超高齢者の誤嚥性肺炎の予防について -特に鼻腔経管栄養中の患者における評価-  鈴木 伸治
・成人市中肺炎診療ガイドライン 日本呼吸器学会 

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