間質性膀胱炎に対するDMSO膀胱内注入療法

間質性膀胱炎に対するDMSO膀胱内注入療法

2015.09.04

患者:56歳女性
処方:
(前回)アイピーディカプセル100mg 3c3×毎食後 30日分 
                トリプタノール錠10mg 1T1×寝る前 30日分

(今回)トリプタノール錠10mg 1T1×寝る前 30日分

 前回まで処方されていたアイピーディカプセル100mg が中止になっていた。
中止理由を尋ねたところ、「DMSO」を膀胱内注入療法に変わった、とのことだった。

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DMSO膀胱内注入療法

DMSO:ジメチルスルホキシド (Dimethyl sulfoxide) は (CH3)2SO の分子式で表される有機化合物である。純度の高いものは無色無臭だが、長く貯蔵したものは分解物である硫黄化合物の臭気(磯の香りに似ている)を持つ。非常に吸湿性が高い。水とは自由な割合で混和し、多くの有機化合物や無機塩も溶解する優れた非プロトン性極性溶媒である。このため実験室レベルから工業的規模に至るまで広く溶媒として利用される。
間質性膀胱炎の治療薬として、50%水溶液が「RIMSO-50」という商品名で米国やカナダなどで利用されている。本邦では、医薬品としては未承認である。
DMSOには炎症抑制、鎮痛、筋弛緩、肥満細胞の刺激、コラーゲン分解などの作用があると言われている。
間質性膀胱炎に対するDMSO膀胱内注入療法は1968年に初めて報告され、30~40%の症例に有効で、5~6年間症状の緩解があったとされている。
その後の非無作為対象試験では、主観的評価で53%が著しく改善(プラセボ18%)、客観的評価で93%が改善(プラセボ35%)していた。その他の報告でも、80%前後の改善率が報告されている。これらの報告を受け、「間質性膀胱炎診療ガイドライン」では、DMSO膀胱内注入療法は推奨グレードb(行うよう勧められる)に位置づけられている。

 統一された注入方法は無い。通常、生食または蒸留水を用いて、DMSOの50%溶液を50mL膀胱内に注入し、10分~20分排尿を我慢させる。
これを週1回、4~8週間継続し、効果が不十分な場合には2週に1度の割合でさらに4~6ヶ月継続する。
一時的に症状が悪化することがあるが、これはDMSOに肥満細胞を脱顆粒させる作用があるためで、通常しばらくすればおさまる。どうしても疼痛が強い場合は、キシロカイン液などで局所麻酔を行うこともある。
ほとんどの症例で、注入後ニンニク臭を自覚し、1~2日以内に消失する。これは体内に吸収されたDMSOが肺から排出されるためである。
動物実験では白内障との関連が指摘されており、ヒトでは報告はないが、定期検査が望ましい。
間質性膀胱炎の薬物治療として適応外でよく用いられるアイピーディ(トシル酸スプラタスト)は、「間質性膀胱炎診療ガイドライン」では推奨グレードc(行うよう勧めるだけの根拠がない)であり、「有効性の根拠は低いが、有効とする報告もある。問題となる副作用は少ない」と記載されている。
また、薬物療法以外では、行動療法・緊張の緩和・食事療法がグレードbと勧められている。行動療法として、定時排尿(間隔や時刻を決めて排尿する)、飲水コントロール、骨盤底訓練、膀胱訓練(排尿間隔を徐々に延長する)がある。精神的なストレスが、間質性膀胱炎の症状を悪化する要因であることは知られているので、エクササイズや入浴などが良い影響がある、とされている。食事療法としては、酸性飲料、コーヒー、香辛料のきいた食品、アルコールなどの食品を控えることで症状が改善することが知られている。

 

参考資料:間質性膀胱炎-疫学から治療まで-

              間質性膀胱炎診療ガイドライン

 

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