除菌前後のPPIの服用

除菌前後のPPIの服用

2014.09.26

<患者情報>
・60歳代男性。以前、ランソプラゾール錠を服用していた。
・今回、ピロリ菌の除菌を行うことになった。
・投薬時、男性から「除菌が終わったら、手持ちのランソプラゾール錠を飲んでもいいか?」と質問があった。

(消化器内科処方)
Rp)ラベキュアパック400 1シート  1日2回 朝夕食後 7日分

<PPIの静菌作用について>
ランソプラゾールはじめPPIにはピロリ菌に対する静菌作用があると言われている。
このためピロリ菌の除菌前後にこれらの薬剤を服用していると、感染診断の結果が偽陰性となるおそれがある。

PPIの単独投与ではピロリ菌の菌量の減少が認められ、PPI投与中や投与直後の診断でしばしば偽陰性が生じると指摘されていた。
PPIはピロリ菌の病原因子のひとつであるウレアーゼ活性に対しての阻害作用が認められている。
ほかの一般細菌にたいしては抗菌活性は示さず、Helicobacter属に特異的な反応といえる。
しかも、同じ酸分泌抑制薬であるH2ブロッカーにはこの作用は認められていない。
実際に、除菌後にはH2ブロッカーを処方されている処方例が多く見られる。

PPI投与下での偽陰性の原因としては抗ピロリ菌作用のみでなく、酸分泌作用にもとづく
胃内酸度低下も菌量やウレアーゼ活性へ影響を与えていると考えられている。

PPIが尿素呼気試験へ影響を及ぼす持続期間については、5~7日以内で陽転化するケースが主だが、なかには
100%の陽転化には2週間必要であったとの報告もある。

除菌前ではPPIを中止後2週間以降であればピロリ菌感染診断は可能である。
除菌後では菌量の低下が著しく、PPIによる増殖抑制効果が長期にわたって持続することが推測されるため、PPIを投与中止後4週間以上経過した後に、ピロリ菌感染診断をおこなうべきである。

【参考資料】
実地医家のための~Helicobacter pylori 除菌療法 Q&A
■監修
『Helicobacter Research』編集委員会
■編集
浅香 正博:北海道大学大学院医学研究科消化器内科学分野教授
川野 淳:大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻医療技術科学分野機能診断学講座教授

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