INH非感受性患者にLVFX

INH非感受性患者にLVFX

2016.03.25

<患者情報>

66歳男性。肺結核、慢性腎不全、薬剤感受性試験でINHに非感受性であることがわかり、処方がLVFXへ変更となった。

 <処方> 呼吸器科 

リファジンカプセル150㎎ 3C 
エサンブトール錠250㎎  2
レボフロキサシン錠250㎎「DSEP」 1

11回 朝食前  28日分

 <解説>

・結核は感染症法において、二類感染症に指定されており、国が定める「結核医療の基準」に沿って治療が行われる。
・結核症の治療の基本は多剤併用化学療法であり、治療に使用される抗菌剤の組み合わせは公式化されている。治療の原則は、感受性のある異なった系統のFirst-line Drugsから34剤の併用である。
First-line Drugs (a) 最も強力な抗菌作用を示す薬剤 RFPINHPZA
First-line Drugs(b)  (a)との併用で効果が期待される薬剤 SMEB
Second-line Drugs  First-line Drugsに比し抗菌力は劣るが、多剤併用で効果が期待される薬剤 LVFX(またはMFLX)、KM(注射)、EVMTHPASCS
・過去に治療歴がありRFPINHの薬剤耐性、副作用により標準治療が行えない時は、Second-line Drugs が使用される。
LVFXは世界あるいは日本の結核治療のガイドラインにおいてSecond-line Drugsの抗結核薬として、薬剤耐性菌および副作用のために他の薬剤が使用困難な場合の必須の薬剤としてとりあげられている。
・日本結核病学会治療委員会が2010年に「結核に対するLVFXの使用実態調査結果」をおこなっている。これによると、LVFXの投与理由として、先行薬の副作用が59.8%、薬剤耐性によるものが24.6%でありINHSMの耐性による変更が多かった。
LVFXを含む結核治療の菌陰性化率は、解析対象者全体で91.9%、有効率98.3%、MDRINHRFPを含む耐性薬剤)による陰性化率は、86.0%、有効率89.3%と良好であった。
・この調査によるLVFXの副作用発現率は、投与理由が薬剤耐性の場合に限ると1.9%で、クラビットの使用成績調査の副作用発現率1.6%とほとんど差がない。
・他の二次抗結核薬の副作用頻度は、添付文書によるとCS34.7%、THPASでは副作用発現頻度が明確となる調査が実施されていないが、THは肝障害が約2%、胃腸障害が約30%以上、PASでは20%に胃腸障害がみられる。副作用の面からみてもLVFXは他の二次抗結核薬よりも安全性が高いと言える。

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